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コンテクスト・シンキング その3


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私は、この世の中の全ての出来事も事柄も、それらは「コンテクスト」の中に存在していると捉えています。過去、現在、未来、これらを言い換えれば、”これから”と”今”と”その先”の連続を総称して「コンテクスト」としています。

そのように考えるようになったのは、自分も含めて、誰か、何かとの関わりの中で存在しており、全ての周囲の関係から、無関係でいられることはないと感じているからです。そうなると、関わりあるものは”資源”として捉えれて、関わりが有効に働くように、それらの資源の配置や活用を、設計・計画していく方が良いのではないか?と考えました。それが、「コンテクスト・シンキング」が生まれた背景です。



コンテクスト・シンキングでは、地域活性化、新結合によるイノベーション創発のための理論「地域コミュニティブランド」(SCB:星合隆成工学博士提唱)を用いて思考を整理しています。

SCB理論では、存在する全ての事柄を”域資源”と捉えており、それらの資源をどのようにつなげるか?を科学的なアプローチで解説しています。星合先生とは2002年くらいからご一緒させて頂いておりますが、もともとはネットワークの専門家であり、1998年にブローカレス型探索モデル(ブローカレスモデル)を提唱されています。このICTの理論をベースにしているのがSCB理論なのです。


星合先生が講演でイノベーションには2つのアプローチがあり、一つが技術革新、もう一つが新結合であると説明しています。新結合によるイノベーションの例として、ポケベルがあります。


ポケベルはもともとはサラリーマンの折り返し電話をさせるための道具でした。 しかし、サービスが開始されるとしばらくして、数字のやり取りしかできない道具を使って、高校生同士のコミュニケーションツールになっていきます。


高校時代を思い出すと、授業中に手紙が回ってきたり、丸めた紙が飛んできたり、とにかくいつでもどこでもコミュニケーションを取っていたことを思い出します。それが、別のところで生まれた資源を、当時の高校生たちは、自分たちの生活に取り込んだのです。

結果としてみれば、高校生同士のコミュニケーションが市場になる可能性が可視化されたわけですが、技術革新的アプローチで考えれば、「誰と誰のコミュニケーションを市場として捉えるか?」を決めて、そこからどんなツールにしようかと企画・設計・プロトタイプを製造し、実際にテストをしてみてから、製品として販売する、みたいな流れになるでしょうか。そうやって、「高校生のためのコミュニケーションツールの開発」を目指すということを意味することになります。

女子高生とポケベル、一見つながりそうになかったものも、もともとあった「女子高生の日常的なコミュニケーション」と「不良が使っていた4649などの語呂の表現」が、「サラリーマンの呼び出しツールであるポケベル」とつながった時に、「若年層同士のコミュニケーション」の市場が可視化されたのです。これが新結合(新しいつながり)によるイノベーション=新しい価値の事例です。



新結合によるイノベーションの事例は、可視化されると「なるほど!」と妙に納得したり、感心したりするような事例が少なくありません。簡単に思いつきそうなことのようにも見えます。しかし、実際には頭の中にはない発想なのですぐに到達するわけではありません。


そこで、コンテクストを意識したインタビューを行い、可能な限り対象者の経験や知識を言語化し、平場に並べてみると、新しいつながりや新しい可能性を見出せる可能性が高まります。インタビューによるインサイトは、要素の抽出です。取り出す要素が多いほど、つながりの可能性も広がっていくのです。

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